遡ること2017年、GERALDが新宿の
早稲田近くの住宅街でお店をしていた頃
買い付けの際に使える
縦長のショルダーバッグを
ゴアテックスで簡単に作った
ゴアテックスは
イギリスで購入した洋服達を
買い付け中頻発する雨から守ってくれる
さらに縦長の形状は
買い付けで膨らむバッグが、
縦方向に膨らむと電車移動の際に楽なのと、
その日の荷物量に応じて不規則に
変化する寸胴のバランスを好んでいたから
また、内側の曖昧な位置に
ショルダーを留める事で、
形状の不安定さをあえて明確にした
当時このショルダーをインスタに
上げたところ、
周りで欲しいというリクエストをもらい、
ならばとイギリスで
製作しようとトライするも、
サンプル代を支払ってサンプルが来ないなど
トラブルになり頓挫
それから、約8年
自分への課題/宿題として
ぼんやり脳裏にあったが、
最終どういう着地にするか決めきれずにいた
が
今回の春の買い付け前のリサーチで
レザーバッグが欲しくなり、
このデザインとリンク
重い腰を上げ、
レザースタジオのリサーチに入ることにした
UK内で数件ピックアップしたが、
その中で1番の理想が
今回のスタジオであることは明白であった
それはスコットランドという
ファッションシーンから離れたエリアにあり、
その思想は宗教的ともいえる閉鎖的な場所で、
全くのモダンなデザインのバッグを
制作するという行為と背景に
大きな意味があると考えたからだ
話の切り出しから
緊張気味にこちらの企画に触れはじめた
なぜならば、最初のメールでは断られたから
まずサンプルのゴアテックスのバッグを
見せながら説明を始めた
シンプルな構造だが、
縫製は伝統的なスコットランドの
レザーバッグや馬具の手法をとりたいと説明し、
ディスカッションしながら進んだ
彼女はやはり柔軟で、さらに意欲的であった
ここからはスムーズに事が運んだ
レザーは程よい張りと厚みがあり、
シボがライトなイタリアのベジタブルタンニンのグレインレザーにした
内側にはスタジオに転がっていた
自然とビンテージと化した
シルバーのリングを付けてもらう事にした
発想もデザインもシンプルな構造であるが故
パーツやバランスには神経を使った
熱を帯びたディスカッションの後、
打ち解けた手応えと達成感を感じていた時に
唐突に彼女は口を開いた
「私はもうスタジオの規模を小さくしていきたいから、ビッグオーダーはしないでね」
なぜか痺れた
打ち出しからビジュアル、
デザインまでパッケージングされた
マーケティングファッション
デザイナーやショップの主張を
鵜呑みにしたマーケットが主流の今
*時代の流れとして全く否定はしないが
より身につける人自身が自分の要素、
日常を入れる余地、
自分だけのメモを書き込める様な事ができる物
に今は特に魅力があるように映る
自分仕様に使うことで初めて完成するもの
誰のものでもない
不完全で無頓着
継続できるかなど生産背景も含めて不安定
ファーストは9/5より静かにリリース致します