争いの20世紀と洋服
ドレスウェアから作業着、スポーツウェアまで
現代の男性服の起源の大半が軍服や作業着にルーツを持つことから分かるように、階級やクラス、実用性を重んじた洋服文化には
分厚く重い歴史がある。
一方で、ファッションという視点から見てみると、体制や主義、主張を体現したマイノリティ達によるアンチテーゼよって、
常識が覆され流行のとなり、進化した背景を見ることができる。
一部だけでも、
30年代のアメリカのズート、40年代フランスのZazous、50年代のビートジェネレーション、ロカビリー、以後モッズ、フラワーチルドレンによるサマーオブラブ、パンク、
ポストパンク、ポストモダン、
ヒップホップやスケートカルチャー、
レイヴ、ドラッグ、ゲイカルチャーなど
分かりやすい分岐点は
音楽や反体制から生まれ、
さらに派生し新しい文化を産んだ。
いわゆるカウンターカルチャーです。
これらは歴史的事実で
重要なファクターではあります。
教科書的ではありますが。
で、ここからは私的見解。
この様に歴史的に幾度となく思考錯誤され、
時間に揉まれた後、
それらがファッションとして大いに溢れたのは
80年代-90年代じゃないかと。
(中世を除く)
これは海外で実際に洋服を探す仕事をしてきて、ある程度の洋服を実際見たり、
話を聞いたり本や映像をみたりして
いつも思うこと。
例えばイギリスにおけるニューウェーブの頃のインディペンデントなブランドなんて、
その数の多さに圧倒されながら、
そのどれもがカッコ良い。
そのカッコ良いというのは、ちゃんとそれぞれが大きな流れの中にあっても自分らしいという事。
そしてさらに10年後、男性服の90年代。
もうひとつ踏み込んで90年代前半。
華々しく、多様な洋服が生まれた80年代を経過した直後の頃。
クロスオーバー、ミックス、マッシュアップ。
ストリートカルチャー全盛と
捉えられがちなこの時期に、ストリートウェア以外にはどんな洋服があったのか?
ユースが主導のストリートカルチャーを横目に
成熟した大人が着ていたのは何だったのか?
何となくそこにちょうど良い洋服あるんじゃないか?と。
そんな角度で見ていた90’sに対して、
この数年GERALDとして展開した事は、
コロナ期間中の2020年に、90年代半ばから後半のストリートに架空の人物のライフスタイルを
空想しながら連想してアイテムをピックアップ。
イギリスのクラスを意識したスタイル、例えばRABやバーグハウスのアウター、さらにリンクする当時のデザイナーの洋服、
St.michel などの大衆服を合わせたスタイルを’LO-FI’と題して展開しました。
そこから、先にも述べた様な疑問が起点となり、
少しずつ少しずつ’物差し’を90年代のトラッドなスタイルを現代に置き換えるなら?と、当時の大人は何を見ていたのか?などと、
徐々に少しずつテーマをスライドして、2021→2022→2023と経過。
そして今回、解釈としてのお店の現在地がここになりました。
ちょうど良い感じ。
ニュートラルとリラックス、
トラッドなスタイルをベースに
その空気感を共に纏い共存した時代の
洋服の掛け合わせ。
(ストリートも少し混ぜます。)
当時からの影響や解釈は吸収しながらも、
現代ならではの、現代にもフィットするだろうと思いながら選んだ洋服です。
試行錯誤と現在地。
長くなりましたが、おおまかな経緯でした。
今回も誰かの選択肢になる事を願っています。
今回は買付に関するブログも書く予定です。
またお知らせいたします。